「金色のガッシュ」
2000年代に週刊少年サンデーに連載された、雷句誠による少年漫画である。
この漫画の人気は凄まじく、テレビアニメは勿論、同じ小学館系列の雑誌に違う作者によるスピンオフ漫画が連載され、カードゲームやコンピューターゲームまで発売された。
今回紹介する漫画はその続編の「金色のガッシュ2」であり、その変わった制作背景を深堀していく。
ちゃんと面白いので安心してほしい。
自主制作に近い制作体制で作っている
雷句誠氏は自身の出版会社を持っている
その会社はBIRGDIN BOARD(バーグディンボード)株式会社という名前で、雷句誠氏の漫画の制作・電子出版、広告・宣伝・グッズ企画・イベント告知、ライセンス業務を行っていると会社概要に書いてある。
会社の名前の「BIRGDIN」は雷句誠氏のデビュー作の主人公の名前から来ている。
代表取締役は河田誠という人物だが、これは雷句誠氏の本名である。(雷句誠はペンネーム)
その為、自費出版に近い形で作品を発表していることになる。
それで、何で自主制作で作品を発表しようとしたのか。
メリットとデメリットの観点から見て考察していく。
メリット
自由に書くことができる。
単純だがこれは結構デカかったりする。
これは映画の話だが、スターウォーズの話と同じだと思われる。
恐らくだが、雷句誠氏はエヴァンゲリオンの庵野秀明氏(スタジオカラーで作られた劇場版エヴァンゲリオンは自主制作体制で作られている)やジョージルーカス氏と同じことを漫画作品でやろうとしているのである。
デメリット
これは前述と逆になるが、ダメ出しをしてくれる人がいない。
その為、書く事全てが自己責任になる。
現在、金色のガッシュ2は現在人気を維持したまま単話版を販売し続けており、単行本も好評である。
恐らくアシスタント等のスタッフと作品の展開をかなり綿密に話あって決めてるに違いない。
相当な自制心が無いと書き続けられることは無理だろう。
雑誌等で展開していないので宣伝する機会が無い
前作のガッシュは少年サンデーで連載されていたが、今作は連載の体裁をとっていない。
そのため、受動的に見てもらう機会がどうしても少なくなる。
雑誌だと特集を組むなど漫画作品を宣伝する機会が多いので、受動的に読みたいと思えることが多いのだ。
この作品は単話版が電子書籍サイトのお勧めとかに出てくるがそれでも宣伝の機会が少ない。
なので、作者がSNSで宣伝していたりするのだ。
かくいう私はこの作品を何で知ったかというと、2チャンネルのまとめ系サイトで知ったのだ。
ガッシュの続編漫画が面白いというタイトルで書いてあったので、物凄く興味を引いたのだ。
何でかというと、こういうバトル系漫画の続編物は大抵面白くなく、2ちゃんねるの住民はネタにすることが多いのだ。
だが今回は単純にタイトルで面白いと書いてあり、あまり見られない傾向だったので興味を引いたのだ。
2ちゃんねらーの論評は並大抵の評論家よりも厳しいのだ。
何で自主制作で作ろうと思ったのか
これは、作者自身が公言しているわけじゃないので推測の域を出てないのだが、これじゃないかというものがある。
小学館との訴訟
2007年の12月に「金色のガッシュ」連載終了時に雷句誠氏は当時連載していた少年サンデー編集部に原稿の返却を求めたが、2008年2月にカラー原稿5枚の紛失が明らかになり、小学館は紛失原稿に対する賠償金として、カット扱いの1枚を1万円、他を原稿料1万7000円/枚とし、それらの3倍に相当する23万4000円+補償金26万6000円の計50万円を提示したが、雷句誠氏は拒否。
同年6月6日に小学館に対し、原稿5枚で150万円+慰謝料150万円+弁護士費用30万円、計330万円の損害賠償を東京地方裁判所に提訴した。
同年11月11日に小学館の謝罪と和解金255万円(内訳非公開)で和解成立した。
また、この時雷句誠氏は歴代編集者から精神的苦痛を受けたとして実名で批判し、元アシスタント編集主導の末に打ち切りとなったことに対しても編集者を実名で非難した。
その際、小学館と「漫画家の地位向上」の共同提言を訴えていたが、実現することはなかった。
雷句誠氏はこれがきっかけで小学館を去ることになる。
ベクターボールの打ち切り
ベクターボールとは、雷句誠氏が週刊少年マガジンにて2016年から2017年までに連載していた漫画作品で、この作品はアンケート結果が振るわず、編集担当者が提案したテコ入れ案が作者にとって生理的に受け容れられなかったという理由で打ち切りになった。
この時予告はなく、急に終わることになった。
雷句誠氏はこれがきっかけで講談社を去ることになる。
これらが雷句誠氏を漫画を自主制作することに駆り立てた理由じゃないかと考えられる。
これらの理由を見る限り、雷句誠氏には同情せざる負えない。
自身の出版会社を出身地である岐阜県に設立するにあたって、相当の覚悟をもって漫画制作に臨んだに違いない。
自社制作第一号作品が「金色のガッシュ」の続編にしたのは、数少ない宣伝効果を期待したものではないかと考えられる。
実際、今発表されている「金色のガッシュ2」は成功しているので、是非雷句誠氏には漫画制作を頑張ってほしい。
応援しています。
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