この物語は、故郷と日本の架け橋になった男の悲劇の物語である。
ベルギーのアントワープ。
ここにはBTSの像が建っているが、以前はフランダースの犬の像が建っていた。
その像はかつてベルギーと日本の関係の象徴でもあった。
しかもそのことをアントワープの人達は忘れようとしていた。
何故像が変わったのか。
そこには悲しい訳がある。
昔、アントワープの観光局にヤン・コルテールという男が働いていた。
彼はアニメのフランダースの犬に感激して、これを観光資源につなげられないかと考えた。(それまでフランダースの犬はハッキリ言って有名じゃなかった。作者自身がベルギー人ではなくイギリス人であることも関係あると考えられている。)
だが当時のアントワープにはフランダースの犬にまつわる場所は殆ど残っておらず、残っていたとしてもそれがどんな場所か解らなくなっていた。
だがヤンは文献等で調べ、風車等フランダースの犬にまつわる場所を調べ、日本人の観光につなげた。
実際、1980年代の日本人の観光客はヨーロッパ以外の国ならばアメリカに次いで二番目になるぐらい多かった。
ヤンはこれがきっかけで日本人の奥さんと結婚した。
だが幸せは長く続くことはなかった。
彼は2008年に自分の奥さんを殺したのだ。
何故殺したのか。
その奥さんは不倫をした挙句にヤンがいかにダサいか言いまくって罵倒し、離婚するように迫ったのだ。
そして彼は逆上して自分の妻を殺したのだ。
正直言って、彼には同情してしまう。
彼は日本に関わってしまったがために不幸になってしまったのだから。
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