日本のサブカルの父、円谷英二
前回の続き。
円谷英二亡き後、サブカルチャーの系譜はどのように続いていったか。
それはある等身大ヒーローに続く。
ゴジラの課題であったスピード感はウルトラマンである程度解消されたが、それでもまだ少し遅い感じだった。
無理もない。
当時のゴジラは身長50m(平成に入ってから100mぐらいに伸びた)、ウルトラマンは40m。
でかさを表現するには必然的にどうしても動きが遅くなってしまう。
そこで等身大のあるヒーローが生まれた。
仮面ライダーである。
等身大のヒーローはウルトラマンの前に「月光仮面」がいたが、彼はウルトラマンや仮面ライダーみたいに必殺技を使わず、けん銃で戦うヒーローである。
なのであんまり動かない。
仮面ライダーは動きが速かった。
まず大きさは等身大の人間。
バイクに乗ったり、変身ポーズをとったり、名前を叫びながら必殺技を使う点が子供たちに受けたのだ。
ここで一つ余談だが、光線を使った必殺技を最初に使ったのは実はウルトラマンが最初である。(多分必殺技のポーズを最初にしたのも)
仮面ライダーは必殺技の名前を叫んだ最初のヒーローであり、変身ポーズをした最初のヒーローでもある。(厳密には最初の変身ポーズをしたのは仮面ライダー2号であるが)
ただ、最初の仮面ライダーを見てみたら、かなりアクションがもっさりしている。
意味もないのに岩に飛び乗ってすぐ下りたり、敵の武器を奪ったりしている。
現代の仮面ライダーと比べてみたら、現代の方がかなり洗練されている。
もし興味があったら、見比べてみるのもいいかもしれない。
仮面ライダーはゴジラやウルトラマンと違い、スピード感を売りにして人気が出た。
だが新たな問題点が出てきてしまった。
迫力がない。
ゴジラやウルトラマンは巨大な設定なので、とにかく建物が壊れたり爆発等の特撮アクションが楽しめたため、迫力が凄かった。
それに比べて仮面ライダーはそういったものが無いため、迫力に欠けた。
そこで次は迫力とスピード感を両立できるものが求められた。
だが実写特撮ではもう表現に限界があり、もしやろうとしても青天井の予算がかかってしまうため、この問題点を解決できなくなってしまった。
そこで、あるもので表現することになった。
アニメである。
しかもただのアニメではない。
巨大ロボットアニメである。
そしてできたのがマジンガーZである。
アニメなので着ぐるみ関係なく動きの早いアクションが可能で、実写ではできない迫力のアクションも可能になった。
そのもっともたる例が、マジンガーZの必殺技であるロケットパンチだろう。
しかも製作費が安い。
一般的なアニメの一話当たりの製作費が300万円。
仮面ライダーが400万円。
スーパー戦隊が600万円。
ウルトラマンが800万円。(当時はこれで映画一本撮れたと言われていた。 だが現在、これよりも安いらしい)
余談だがサンダーバードが2000万円。
それでも高めだが。
ここからマジンガーZを発端とするスーパーロボットのアニメが大量に作られるようになった。
だがまた問題点が出てきた。
必殺技の名前を叫ぶのがダサい。
これはかつてスーパーロボットアニメを見てきた子供たちが成長したため、こういった外連味のある描写に飽きてしまったのだ。
そこで次はリアリティのあるロボットアニメが求められるようになった。
宇宙戦艦ヤマトやスターウォーズ等のSFブームも要因があった。
そこで出てきたのが機動戦士ガンダムである。
ガンダムは今でいう「リアルロボットアニメ」の走りになったアニメである。
「リアル」と名前につくので、もちろん必殺技がない。
あるのは銃とかの武器で敵(というより軍)を倒す。
話の内容も単に敵を倒すだけの勧善懲悪ではなく、奥が深いものになった。
円谷の直接の系譜はここで終わっている。
間接的な影響を受けたものが今日のキャラクターもののサブカルチャーを形成していってると言っても過言ではない。
例えば、現在のゆるキャラは着ぐるみ特撮(ゴジラから派生した円谷プロの怪獣ブースカだが)からきてるし、エヴァンゲリオンはウルトラマンからの派生である。
ポケットモンスターもウルトラセブンのカプセル怪獣が元ネタになっている。
日本は今、キャラクター市場の大きさが世界で一番でかい。
ポケモンの世界市場はディズニーを上回った。
これからも日本でいろいろなキャラクターが生まれ、それらは円谷の系譜を間接的に受け継いでいくのだろう。
終わり。
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